もう、思考が働かなくなってきた頃、やっと仲間たちが帰ってきた。



都楼を先頭に、疲れ切った様子の男たちは、無言でアジトに姿を現した。



女子供が狂喜して、夫や父親の首っ玉にすがりつく。



一方、見つからない愛する家族を必死になってさがしている者もいた。



多々良もふらりと立ち上がって、見知った顔を探す。



「呉壽…。」



見つけた。



あの、逞しい身体つきは、呉壽に違いない。



多々良は無意識に走り出していた。



「呉壽!」



彼らが出ていってから、初めて発した声だった。



多々良に気付いた呉壽は顔を上げ、疲れた顔で微笑んだ。



「おかえり。
よく無事だったね。」



本当に、よかった…。



「心配かけたな。」



疲労で掠れてはいたものの、呉壽の声は記憶にある通り野太かった。



一段落ついた多々良はきょろきょろとあたりを見回した。



「架妥は?」