ただの国民の反乱が、歴史を塗り替えられる日が、来るのだろうか。



祈るしかない。



力の限り、叫ぶしかない。



あたしにできるのは、これだけ。



桂月の残してくれた遺志を、継ぐことしかできない。



でも、時々、これは正しいのだろうかと思う日がある。



山道を行く商人から金品を奪い取り、都合が悪くなれば殺す。



これは自分たちが憎んでいる政府と同じじゃないのか。



でも、考えたって仕方ない。



あたしたちには、この生き方しかないんだ。



耕作可能な土地は、もうほとんど残っていない。



だから、あたしたちは山に逃げた。



あたし達に残された道は、これしかないんだ。



滑稽であろうと、生きるしかない。



「引き揚げよう。」



架妥が言うと、疲れ切った仲間が微笑む。



「行くか。」



肩を貸しあって歩き出す仲間の背中を見つめながら、架妥はいつも思う。



頼むから、平穏に暮らせる世の中が来ますように。