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架妥は爆撃の音に負けないくらいに声を張り上げた。
しかしその声は結局爆音に紛れていく。
指示を聞き取れない仲間が、架妥の思う方向とは逆に走って行った。
あぁ、駄目だ。
どうしよう。
そっちには、敵兵が多くいるのに…。
ごめん、みんな…。
心の中で懺悔しながら、架妥は彼らを見捨てた。
見知った顔を、見捨てた。
あたしが優先すべきなのは、少人数ではなく、大人数なんだ。
無茶な難癖をつけて、農民から土地や食料を奪い取っていく兵士たち。
理不尽な虐殺を阻止するために桂月が立ち上げた凬の遺志を継いだ都楼とともに、架妥は戦う。
「攻め落とせ!」
声の限りに、仲間に檄を飛ばした。
不意打ちを食らった敵兵は、散り散りに逃げていく。
残党狩りは、他の班に任せて、架妥は奪い取られた食糧を奪還にかかった。
呉壽が耳元で叫ぶ。
「ここは俺が引き受ける!
向こうの司令塔がやられたから、そっちへ回ってくれ!」