蜃気楼

足の筋肉が痛くなってきた頃、やっと視界が開けてきた。



「もうそろそろだぞ。」



架妥の声に、興奮を感じ取った。



そんなにいい場所なの?



訊こうとした多々良の目に飛び込んできたのは、なるほど、登ってきた価値のある光景だった。



「どうだ、きれいだろう。」



開けた平地の眼下に広がるのは、緑。



緑のグラデーション。



山の一面が見渡せた。



「うわぁ、下が霞んで見えるや。」



ぽかんとして、多々良は歩き回る。



架妥は後ろで立っていた。



「ここ、架妥の秘密の場所?」


「あぁ。
たまに都楼と来る。」



…なんだか、ムッとした。



また、都楼か。



架妥は嬉しそうに笑っている。



「綺麗だろう。
ここにいると、すかっとする。」



どうやら定位置らしい岩に腰かけ、架妥は笑う。



思う存分散策した多々良も隣に腰を下した。