冗談なのか、本気なのか。



都楼は架妥に身体をすり寄せた。



重なった肌は、確かに温い。



久し振りに抱きしめられたなと思いつつ、架妥は都楼の胸に頭をすり寄せた。



「ん、確かに。」


「でしょ。
架妥もあったかいね。」



とくんとくん、と都楼の鼓動が聞こえる。



それはいつも通り規則正しくて、静かな音だった。



「架妥。」


「ん?」


「お前が嫌なら、いつでもあいつを追い出すから。」


「いーよ、別に。
あたしも特別あいつを嫌ってるわけじゃないから。」


「そ、ならよかった。」



都楼は最後に意味深な笑みを含んだ声で言って、身体を離した。



「架妥は怒ると怖いからね。」


「それをあんたが言うの?
みんな、何よりも怖いのはキレたあんただと口を揃えていうんだけど。」


「それよりも怖いのは、キレた架妥だってみんなが言ってるの、知ってる。」



架妥はぴたりと動きを止めた。



「え、嘘。」



さぁ、と都楼は歩き去る。



「え、嘘でしょ。
ホントなの!?
ねぇ、都楼!」



本気の追いかけっこを始めた架妥達だった。