騒ぎに気付いた仲間が慌てて止めに入った。



「手ぇかせ!
また乱闘が始まったぞ!」



乱闘というか、なんというか。



一方的に都楼が仕掛けてくる。



架妥は反撃すらできず、防戦一方だ。



これは小さい頃から覆されたことはない。



「馬鹿、架妥!
お前またちょっかいかけて!」



呉壽が慌てて架妥を抱き上げる。



力に勝てるはずもなく、架妥は情けなく呉壽の肩に乗っかった。



都楼はふふんと得意気な顔だ。



それが余計に気に障る。



「都楼!」



吠えるように叫ぶと、呉壽が身をすくめた。



「うへぇ。
珍しくいきり立って。
なんかあったのか?」



尋ねられるも、都楼は知らん顔。



ぷいっと歩いていってしまったので、取り合えず騒ぎは収まった。



呉壽は年々用心深くなっているらしい。



完全に射程範囲内から都楼が出ていくまで、架妥を下そうとはしなかった。



「お~ろ~せ~。」


「はいはい。
まったく、世話の焼ける…。」