都楼の腕が伸びてきて、架妥の頭を撫でる。



架妥はその手に頭をすり寄せた。



「うん。」



返事を返すと、もう一度都楼の手は頭を撫で、そして離れていった。



毎度のことながら、都楼に言い聞かせられると落ち着く。



そうしてもらわないと、感情の制御がきかないときもあった。



自分は都楼に依存している。



仲間は誰も口にしないが、周知の事実だった。



そろそろ自立しなきゃいけないんだけどなぁ…。



架妥はポリポリと頬を掻く。



物心ついたときから都楼がそばにいて、何をするにも一緒だった。



そして、当たり前のように互いに寄り添ってきたため、それは言うほど簡単ではないのだ。



ふと何気なく視線を巡らせると、またあの捕虜と目があった。



ぴきりと顔が引きつる。



このまま、斧、投げてやろうか。



いや、檻があるんだから、刺さらないはずだ。



死なないさ。



本気で投げようと試みたとき、またもや頭上からストップがかかった。



「か~だっ。」



遊びに誘うかのような軽い口ぶり。



しかし、それは紛れもなくお叱りの声だった。



「わかったよぅ。」



架妥は口を尖らせ、都楼に見張られながら斧をふるった。