蜃気楼

ガシャン、と天井に何かが降ってきた。



ビクッとして肩を竦める。



なんだ!?



恐る恐る、見上げようとすると静止がかかった。



「動くな。」



間違うはずがない、都楼の声だ。



多々良は身を硬くした。



「お前、さっきからなに架妥ばかりみてるんだ。」



げ、バレてた。



多々良は小さく舌を出した。



「架妥が混乱してる。
止めろ。
さもなくば殺す。」



威圧的な声。



多々良は高揚した気分が凍っていく気がした。



「聞いているの?」



柔らかい声色。



でも、強制力を持っている声。



都楼はいつもの大人しい顔で、多々良を見た。



怖い怖い…。



どうして上からぶら下がってくる必要があるの。



木の枝に足をかけるようにしている都楼___つまり逆さまの都楼に見つめられ、多々良は無条件降伏をした。