徐々に、女たちが場所を開けた。



男たちはそろそろと2人のそばに寄る。



多々良もその波に乗って、様子を窺った。



あ、よかった…。



架妥、起きてるや。



ぐったりとしてはいるが、ちゃんと目を開けている。



時折、微笑みもした。



よかった、大事がなくて。



呉壽はまだ隣で鼻をぐじゅぐじゅいわせている。



それを発見した架妥はクスッと笑った。



都楼も架妥の視線を辿り、呉壽に行きつく。



一瞬、きょとんとした顔をしたが、次の瞬間には架妥を顔を見合わせて笑った。



周りの人間の空気もいくらか和んだ。



「寒い。」



だいぶ人が捌けたころ、多々良は2人のそばへ行った。



開口一番、2人は口を揃えてこれだ。



思わず笑ってしまった。



「今は火のそばなんだから温かいでしょう?」


「寒い。」



不機嫌に架妥は言う。



弱っている今ですら、視線は鋭かった。



「まったく。
キミ達には参るよ…。」



そういうと、2人は例のごとく顔を見合わせて笑ったのだった。