多々良は長いため息をつく。



どうしたら許してもらえるんだろう。



身のこなしがあまりにも俊敏だったし、女を思わせない勝気な瞳が多々良を騙した。



それに、名前も男か女かわからない。



ややこしいんだよなぁ。



多々良は頭をぽりぽりと掻く。



悪気はなかった、と言っても、許されないだろう。



架妥以上に、都楼は怒っているようだし。



架妥のようにあからさまに多々良を無視したりはしないが、時々殺気を感じて上を見上げると、都楼が無言で多々良を睨んでいることがあった。



結構大変なことしちゃったな。



ドーンと、地面が揺れた。



途端に上が騒がしくなる。



なんだ!?



多々良はビクッと身体を強張らせて上を見上げた。



「警戒態勢!!」



都楼の叫び声が響く。



と、上からロープが降ってきた。



ばさり、とそれは多々良の頭にヒットする。



なんだ、と見上げると呉壽だ。



「掴まれ!
引っ張り上げるぞ。」


「何があったの?」



ロープにしっかりとしがみつきながら、多々良は尋ねた。