蜃気楼

飄々とした態度がどこか不思議だ。



今、奴は布を通して差し込む日の光を遮ったりして遊んでいる。



おかしな奴。



物心ついたときからここで暮らしているが、こんな奴見たことない。



架妥は無意識に呉壽の肩に乗った余所者を観察した。



「架妥、都楼が会うってよ。」



使いにやった男が、駆け戻ってきた。



ご苦労、と呉壽が肩を叩く。



「それにしても、お前が人間持ち帰ってくるなんて珍しいな。」


「初めてじゃねぇか?」



呉壽も、そういえばと顎を掻く。



「いつも持って帰って来るのは金品だからな。」


「当たり前だろ、生身の人間で酒は買えない。」


「ごもっとも。」



架妥の言葉に頷いた呉壽は、そろそろ重くなってきたのか、肩から青年を下した。



器用に彼は地面に両足をつく。



長時間、自由を拘束されていたというのに…。



架妥は探るような目で、彼を見つめた。



「お前、名前は?」


「多々良。」


「多々良?」


「うん。
君は…架妥だったね。」