蜃気楼

「なんだ、関係なしか。」



呉壽が、がっかりした表情を見せる。



しかし、架妥は顔色一つ変えず、さらに問い詰めた。



「孤児院?」


「あぁ。
捨て子だったらしい。」


「それはどこで手に入れた?」


「捨てられたときから首にかけてあったらしい。
よくあるパターンだね。」



そのまま、架妥は少し考え込んだ。



呉壽はじっと架妥が何か言うのを待っている。



「…行くぞ。」


「こいつはどうする?」


「都楼に見せる。」


「わかった。」



…ということは?



僕はどうなる?



「わっ!」



いきなり身体が宙に浮いた。



呉壽が担いだのだ。



「待て、呉壽。
アジトを知られると厄介だ、目隠ししろ。」


「はいよ。」



呉壽はどこからか丁度いい布を出してきて、起用に多々良の顔に巻きつけた。