「あの時は、ごめんなさい。
結婚するには、貴方を連れては来れなかったの。」
「別に、貴方を恨んでなんかない。」
「嘘よ、暮らしに不満だったんでしょう?
だから、私のところへ来たんでしょ。」
違うと叫びだしたかった。
僕はあんたが考えているような欲にまみれた要求があってここに来たんじゃない。
「これからは、一緒に暮らしましょう?」
この人は、本当に僕と暮らしたいんだろうか。
「心配しなくても、私たちに子どもはないの。
貴方が次期国王よ。」
そんな心配は一切していないよと言ってやりたい、そして彼女の反応が見てみたい。
多々良の頭を、そんな意地悪い思いがよぎった。
「許してね。」
「許すもなにも、僕は貴方をなんとも思ってはいません。」
その言葉を、彼女は違う風にとらえたようだ。
「よかった、それはよかった。」
心配事から解放された笑みを浮かべ、彼女は何度もそう繰り返す。
「申し訳ありませんが、僕は疲れた。
身体を洗っても?」
「え、ええ、勿論どうぞ。
ゆっくり休んでちょうだいね。」
そう言うならさっさと出ていけ、と心の中で毒づく。
どうも、この人が好きになれそうにない。
何度も何度も振り返って出ていく王妃の姿が見えなくなって、やっと多々良は息を吐き出した。
「もういいよ。」
言うと、呉壽はすぐに出てきた。
結婚するには、貴方を連れては来れなかったの。」
「別に、貴方を恨んでなんかない。」
「嘘よ、暮らしに不満だったんでしょう?
だから、私のところへ来たんでしょ。」
違うと叫びだしたかった。
僕はあんたが考えているような欲にまみれた要求があってここに来たんじゃない。
「これからは、一緒に暮らしましょう?」
この人は、本当に僕と暮らしたいんだろうか。
「心配しなくても、私たちに子どもはないの。
貴方が次期国王よ。」
そんな心配は一切していないよと言ってやりたい、そして彼女の反応が見てみたい。
多々良の頭を、そんな意地悪い思いがよぎった。
「許してね。」
「許すもなにも、僕は貴方をなんとも思ってはいません。」
その言葉を、彼女は違う風にとらえたようだ。
「よかった、それはよかった。」
心配事から解放された笑みを浮かべ、彼女は何度もそう繰り返す。
「申し訳ありませんが、僕は疲れた。
身体を洗っても?」
「え、ええ、勿論どうぞ。
ゆっくり休んでちょうだいね。」
そう言うならさっさと出ていけ、と心の中で毒づく。
どうも、この人が好きになれそうにない。
何度も何度も振り返って出ていく王妃の姿が見えなくなって、やっと多々良は息を吐き出した。
「もういいよ。」
言うと、呉壽はすぐに出てきた。


