「じゃあ、あーんして?」


恥ずかしいけど、ケーキを一口フォークに刺して龍矢に差し出す。


「そこじゃあ、届かない」


ぐっと腰を引かれ、龍矢にピッタリくっつく。


「早く食べてよ~」


部屋には二人だけでも、あーんって恥ずかしい。


「誰もいないだろ?」


「だけど、恥ずかしいもん」


龍矢はフッと鼻で笑うと、ケーキを口にした。


「おいしい?」


「ああ。うまいよ」


「よかった」


ホッと息をつく。


「じゃあ、私も食べよ」


そう思ってケーキの乗ったお皿を持つ。