秘密なお菓子作り~美和’s cafe へようこそ~

「美和様、どうぞ」


どこからか現れた結城さんが、温かい紅茶を差し出してくれる。


「ありがとうございます」


ニッコリと笑った結城さんは、龍矢に向かって軽く頭を下げて社長室を出て行った。


マフラーとコートを脱いで、紅茶を貰う。


「温かい」


「まったく。暖房入れたから、すぐに温かくなるだろ」


龍矢が私の隣に座る。


「で、何しに来た?」


「龍矢、今日帰ってこないから」


「ん?」


「バレンタイン、渡しに」


バレンタインって、何回渡してもドキドキする。


きっと今の私の顔、真っ赤だと思う。


おずおずとロールケーキの入った箱を龍矢に差し出した。