秘密なお菓子作り~美和’s cafe へようこそ~

「いない」


社長室は真っ暗で、誰もいなかった。


電気をつけて部屋の中を見回すと、龍矢のコートがハンガーラックに掛けてあった。


「てことは、帰ってくるよね」


ソファーに腰を下ろしてテーブルにケーキの箱を置き、鞄からケータイを取り出した。


龍矢からの連絡はない。


「ここに帰ってくるよね」


急に心配になったけど、自分から電話をかける勇気はない。


「龍矢・・・」


ゴロンとソファーに寝っ転がる。


「どこかで仕事中かな?」


何時に終わるのかな?


今日中に会えるかな?


会いたいな。


ケータイを握りしめながら、私はいつの間にか眠りに落ちていった。