ある17歳における不明瞭な愛についての考察






「…考えた、」






「…言っとっけどな、後付けルールはなしだぞ」


「わかってるよっ!」



憤慨する千往は少し歩く速度をあげた。俺の隣をするりと過ぎ去り、前に躍り出た。



俺がこっそり伺った横顔、頬がきゅっと緩んでいたこと。

甘い、ふんわりとした髪の匂い。



───妙に、ドキドキした。








「ゆんちゃんと付き合ってんの?」だとか言われても、「付き合ってない」と言うけど。


「スエゼン食わぬはなんとか、って言うじゃん」だとか言われても、わけがわかんねーけど。



「俺ならぱぱぱっと頂くね!」だとか言われても、……「千往はお前なんかの手には負えないよ」と俺はこっそり思うんだけど。




俺の隣を歩くのは“ゆんちゃん”じゃなくて、“ちゆき”。

あいつの隣を歩くのは、“ゆうと”じゃなくて、“ありと”。








「───おにごっこ。」


千往の背中がピンと張った。








「ありと、おにごっこにしよう」