「──あー、違う。定義してるから負は含まない。
で、a=3をf(x)に代入」




有斗は典型的な理系だ。

そういうと、いつも「お前もだろ」って返されるんだけど。



あたしは理系のくせして、文系科目が得意で理系科目が苦手で。

大丈夫?コイツ、って皆にいつも思われちゃって。




────でも、


「大丈夫、ちゆき。

こないだ教えたトコはわかってる」


そーやって有斗に「大丈夫」って言われたら、大丈夫なんだって。







「とけた」


ほうっと息をついて、背もたれに身体を預ける。
あたしの席のとは違って、ギシギシ鳴らない有斗の椅子。


あたしが机に転がしたペンのノックを赤にして、まるっこいあたしの字を有斗が眼でなぞっていく。


普段はへらへらしてるくせに。




かっこいーんだよ、ばかありと。