ある17歳における不明瞭な愛についての考察












距離にして、約15メートル。








どんどん縮まる距離に、千往が振り返る。





真っ赤な頬、白い吐息。

今にも泣き出しそうな顔。









「……なあ!!!」


そんな姿に、たまらず千往を呼ぶ俺の声は裏返ったけど、そんなのどうでも良かった。




千往は身体をびくりと震わせ、走るスピードを落としたかに見えた。

つられて、まんまとスピードを落とす俺。


それから、振り返る千往。












そして突然、千往はばかみたいに加速し出した。







少しだけ距離がひらく。




だけど、さすがのあいつも朝の冷気と乾燥の中でずっと走っていられるよーな体力は持ち合わせていないらしい。


「……はっ…!…はあっ…!!」

すぐに息を荒げた千往の背中を、俺のリーチに捉えることができた。
もうほとんどあいつの脚は動いていない。



手を伸ばせば届く、そんな距離だ。






だけど俺は少し躊躇った。



捕まえたら、俺はきっと手放せなくなる。






───千往に、隠せなくなる。