「美恩!前見なよ!」 真央が肘で横腹をツンツンしてくる。 神崎が近くに来るにつれて、あたしは顔を俯かせてしまった。 顔を上げたいのは山々なんだけど、できない。 手から汗が出て、心拍数が多くなった気がする。 その時、上から低い声が降ってきた。 「おい、顔上げろ。」 きっとこの言葉は、あたしにかけたものじゃない! と思い、顔をちょっと上げてみた。 だけどあたしの予想は外れてて…… 神崎と、バッチリ目があってしまった。