「小夜..」




イヤだ..

岐阜に行ったって北海道に行ったって、例えブラジルに行ったって。


「別れたりなんてしないんだから..!!!」




もうサヨナラなんて、イヤだよ。

心の距離がこれ以上離れるのも、耐えられない。

隣にいてよ。
サヨナラなんて冗談でも言って欲しくないの..。



イヤイヤと駄々っ子のように繰り返す私の頭をきぃが優しく撫でた。



「うん。
俺も嫌だよ。」




「...本当に??」




「うん。だから、ごめん。
何回も何が小夜の為か考えたけど。本当は別れた方が小夜のためかもしれないけど。」









私の手をソルトごと包んだ、大好きな骨ばった手。




「小夜を離してなんかあげられそうにない。誰かになんて、渡せないよ。」


だからごめん。


そう囁く愛しい人。
私の、愛しい人。

別れたくなんかない、
離れたくなんかない、
私の大事な大事な人。

なんて嬉しい謝罪だろう。
だって私も同じなの。






私も....
離してなんか、渡してなんか
あげられないの。