「くそ……」 夏樹が口の中で毒づいた瞬間、電光石火の速さで恵理夜が踊りかかった。 何処にそんな力があるのだろう、という衝撃で壁に叩き付けられる。 「っくう……」 衝撃と痛みで視界が真っ白になる。 「薬を、返しなさい」 真っ白な視界の中、逆らいがたいその声に導かれ、夏樹は薬を手渡していた。