執事と共に謎解きを。

「最初は、春樹だけ連れてけば、ヤマザキ様たちが何とかしてくれるはずだったんだけどお嬢さんここに来たってことは失敗でしょ」

「それで、どうして私を狙うの?」

「この銃ね、こないだお嬢さんたちを誘拐しようとして失敗した奴らが持ってた銃なんだわ」

「それが、何?」

「この銃には、春樹の指紋がついてる。そして俺は、シラヤナギ様に指示された春樹がお嬢さんを撃ったと証言する。……したら、わかるよな?」


二人は、押し黙った。


――春樹は恵理夜の元から去りレミコがなんとしても手に入れるだろう。

――シラヤナギは組長の孫を狙った主犯として失脚しヤマザキへ座を譲る。


「あの方たちも、案外いろいろ考えているのね」


こめかみから、冷たい汗を流しながら恵理夜は呟いた。


「そ。で、俺は晴れてお嬢さんの執事になる」


夏樹は、惚れ惚れするほどにっこりと笑った。



「俺のものになってよ。恵理夜」



おそらくは本物の感情。

だが、夏樹の言うとおり、知ることのない感情に恵理夜の勘は麻痺している。


夏樹は、引き金に指をかける。


「余計な怪我、させたくないんだ。大丈夫、痛くないから」


いつもの、軽い声。


「動いちゃ駄目だよ?」