執事と共に謎解きを。

「お嬢さん、案外お子様だよね。本物の気持ちを見抜けないなんてさ」


恵理夜の勘とて完璧ではない。勘はあくまで勘なのだから。


「違うか、お嬢さんは知らないのか。自分に向けられるこの気持を」

「いい加減にしろ」


春樹が再びナイフを突きつける。


「しないよ。俺、お嬢さんが欲しいもん」


夏樹は、首元を捕らえるナイフに挑むように前に出た。

ナイフが食い込み血が滲んだ。


「なあ、春樹」


首元から血を流し、それでも何事もないかのように夏樹は笑いかけた。


「お前のこと、ちょっと恨んだし、嫉妬はしたけど、好きだったんだぜ」

「……」

「でも悪い。お前をあの人に渡せば俺は解放されるんだわ。決着、着けさせてくれよ」


恵理夜は、目を見開いた。



――夏樹が、銃を構えていた。