「さて、レポートは返ってこない上に、恵理夜の薬まで盗まれるという事件に至ってしまいました」


シラヤナギは、悲しそうに言った。


「じゃから、わしはお主を疑っておるのじゃっ」


――バン


ヤマザキの拳がテーブルに叩きつけられた、水の入ったグラスを倒す。


「あ……」


恵理夜の膝に水が容赦なく滴った。


「ヤマザキ先生、軽はずみな行動と、頭の良くない発言は控えたほうがよろしいかと」


恵理夜の膝を拭いながら、無表情に春樹が言い捨てた。


「頭の良くない、じゃと」

「口を慎みなさい、春樹」


憤る老人を遮ってぴしりと恵理夜が言い放つ。


「頭の悪い顧問弁護士なんて、《Dレポート》にも匹敵する機密よ」


ヤマザキは言葉を失い、春樹はおやおや、と肩をすくめた。