――レミコの自室前。


「夏樹っ、夏樹っ」


レミコ夫人の声が響く。


「はい、レミコ様。どーしました」

「どーしましたじゃないわ。青いスーツが見つからないのよっ」

「それでしたら、クリーニングに出しましたよ」

「まだ戻ってこないの」

「今日出したものは、ちょっと遅れるみたいで。まだ戻ってきてないですねー」

「もう、いつまで経っても使えないんだからっ」


いきり立つレミコの背中を見送りつつ、夏樹は肩を落とした。