「未葵……。」
蒼ちゃんはそう言って、目を開いた。
それはまるで、見つめられてるみたいだった。
「蒼ちゃん……。」
私は、ここにいるよ。
だから…ねぇ。
泣かないで。
「…俺は、お前を忘れないから…。
……つーか、忘れられないんだ…。
どうすれば…。
どうすればいいんだよ、未葵……。」
蒼ちゃんは、毎年、こうしてあたしを想って泣いてくれる。
正直、最初は嬉しかった。
でも、なんでだろう。
最近は蒼ちゃんを、苦しめてるようで…つらい。
「楽にしてやったら?」
ずっと黙っていた瑠が、真剣な表情でそう言った。
「え…。」
「“蒼ちゃん”は、お前の死に際の言葉に、ずっと縛り付けられてんじゃねーの?」
私を忘れないで。
それが私の、蒼ちゃんへの、最後のお願いだった。
「……蒼ちゃん…。」
私、蒼ちゃんを苦しめてるだけなの?



