「…なぁ未葵。
まだ見てるの?」
秋山瑠はふて腐れたようにボソッと呟いた。
今日は私と瑠が死んでちょうど5年たった日だった。
「いーじゃん。
暇なんだもん。」
私達がいたのは、私のお墓の前だった。
すっかり大人びた蒼ちゃんがお祈りしてるのを、ニヤニヤと見る私。
「未葵、その顔はキモいって。」
瑠に真顔でそう言われてしまった。
「き、キモくないもん!」
ね、と私を見もしない蒼ちゃんに同意を求めた。
「お前は本当に“蒼ちゃん”だよな。
そんなんだから成仏出来ないんだよ。」
「なっ…そんなこと言ったら、あんただって。」
「それはそれ。これはこれ。」
そう言ってニヤッと笑う瑠。
る…瑠のやつ…!!
瑠は口が達者だ。
なんだか蒼ちゃんと言い争ってるみたいだよ。
目の前にいる20歳の蒼ちゃんを見て、ため息を漏らす。
もう、大分住む世界が離れてくな…。
私は15歳のままで。
蒼ちゃんは20歳。
きっと、私を忘れてしまうんだな……。
そう思うと、妙に寂しくなる。



