少し騒がしい店内には、懐かしいクラスメート達が、すっかり大人になって喋っていた。
そこには、15年間、見守ってきた、私の彼氏…だった男が、いる。
……お願い、蒼ちゃん。
私を、見て。
「……蒼ちゃん…。」
蚊の鳴くような、情けない声は、皆の声に書消された。
「……蒼ちゃん!」
……泣きそうなのを堪えて、愛する貴方に、声を掛ける。
すると彼は、驚いたように振り返って、目を見開く。
「…………み…さき?」
………瑠の言ったことは、本当だった。
15年間、一度も私を見ることがなかった彼が、私を見てる。
「……今日、同窓会だから、来ちゃった。
蒼ちゃんにも、会いたかったよ。」
それだけ言って、蒼ちゃんの横に座る。
蒼ちゃんは驚いたまま、私の腕を触ろうとしたけど、そのまま空を切る。
蒼ちゃん。
私、死んじゃったんだよ。
ごめんね。
本当に、ごめんね。
この15年間、苦しめて、ごめんね。



