【短】同窓会―episode 2―



少し騒がしい店内には、懐かしいクラスメート達が、すっかり大人になって喋っていた。


そこには、15年間、見守ってきた、私の彼氏…だった男が、いる。


……お願い、蒼ちゃん。


私を、見て。


「……蒼ちゃん…。」


蚊の鳴くような、情けない声は、皆の声に書消された。


「……蒼ちゃん!」


……泣きそうなのを堪えて、愛する貴方に、声を掛ける。


すると彼は、驚いたように振り返って、目を見開く。


「…………み…さき?」


………瑠の言ったことは、本当だった。


15年間、一度も私を見ることがなかった彼が、私を見てる。


「……今日、同窓会だから、来ちゃった。
蒼ちゃんにも、会いたかったよ。」


それだけ言って、蒼ちゃんの横に座る。


蒼ちゃんは驚いたまま、私の腕を触ろうとしたけど、そのまま空を切る。


蒼ちゃん。
私、死んじゃったんだよ。
ごめんね。
本当に、ごめんね。


この15年間、苦しめて、ごめんね。