だがその拮抗も、激しい攻防の中で大きく変化を見せる。
力で押すリオナスと、早さで隙を付くセヴィル将軍の攻防。疲れが見え始めたリオナスが、少し体制を崩す。一瞬の隙だったのだが、セヴィル将軍はその隙を見逃す訳がなく、力を込めた突きをリオナスの心臓目掛けて放った。
リオナスは無理に体を右にねじ曲げ、右膝を地面に着く様に移行し急所をずらした。セヴィル将軍の突きはリオナスの左脇と左腕の間を通り抜ける。
リオナスは右手に持っていた大剣を力任せにセヴィル将軍に振り払い、反撃をする。ここまで完璧に避けるとは思ってなかったのだろうセヴィル将軍は、その一撃を後方に下がり避けようとしたのだが、完全には避けきれず左小手がリオナスの一撃をかすめる。
互いに一度動きを止めるとリオナスはその場から急いで立ち上がり、再び構えを取った。
今の攻防でシャロンの心臓は一瞬止まっていた…とシャロンは思っている。
呼吸が出来なかった。それに急いで仕事を再開させたのだろう心臓が、急いで仕事を開始しているかの様に、激しく鼓動を打っている。
「ヒューゴ様…今リオナス様切られましたけど大丈夫ですよね?」
隣で冷静に見ているヒューゴに話しかけるに、懇願を込めた表情で見つめるシャロン。
「確かに切られた。だがあの角度なら対した怪我ではないだろう…服の中に鎖かたびらを着込んでいるはずだしな。軽い打撲ってところだろう。あの程度は戦に出れば良くある事だ…」
やっぱりおかしい。子供と向き合っている時のヒューゴ様なら、どんな小さい怪我でも心配そうな表情を浮かべるのに…。
なんでリオナス様なら大丈夫なのですか?
「だが試合が長引けばあの打撲が尾を引くだろうな。早めに決着をつけないといかん」
ヒューゴ様もギルバート様もどうしてそんな冷静で見てられるのですか?
心臓を狙った一撃ですよ?あの時避けきれなければ…。
「シャロン…外に居ても良いのだぞ。見ているのが辛いならな」
シャロンの異変に気付けないほど無頓着ではないヒューゴは、幾分表情を和らげながらもシャロンにそう話す。
力で押すリオナスと、早さで隙を付くセヴィル将軍の攻防。疲れが見え始めたリオナスが、少し体制を崩す。一瞬の隙だったのだが、セヴィル将軍はその隙を見逃す訳がなく、力を込めた突きをリオナスの心臓目掛けて放った。
リオナスは無理に体を右にねじ曲げ、右膝を地面に着く様に移行し急所をずらした。セヴィル将軍の突きはリオナスの左脇と左腕の間を通り抜ける。
リオナスは右手に持っていた大剣を力任せにセヴィル将軍に振り払い、反撃をする。ここまで完璧に避けるとは思ってなかったのだろうセヴィル将軍は、その一撃を後方に下がり避けようとしたのだが、完全には避けきれず左小手がリオナスの一撃をかすめる。
互いに一度動きを止めるとリオナスはその場から急いで立ち上がり、再び構えを取った。
今の攻防でシャロンの心臓は一瞬止まっていた…とシャロンは思っている。
呼吸が出来なかった。それに急いで仕事を再開させたのだろう心臓が、急いで仕事を開始しているかの様に、激しく鼓動を打っている。
「ヒューゴ様…今リオナス様切られましたけど大丈夫ですよね?」
隣で冷静に見ているヒューゴに話しかけるに、懇願を込めた表情で見つめるシャロン。
「確かに切られた。だがあの角度なら対した怪我ではないだろう…服の中に鎖かたびらを着込んでいるはずだしな。軽い打撲ってところだろう。あの程度は戦に出れば良くある事だ…」
やっぱりおかしい。子供と向き合っている時のヒューゴ様なら、どんな小さい怪我でも心配そうな表情を浮かべるのに…。
なんでリオナス様なら大丈夫なのですか?
「だが試合が長引けばあの打撲が尾を引くだろうな。早めに決着をつけないといかん」
ヒューゴ様もギルバート様もどうしてそんな冷静で見てられるのですか?
心臓を狙った一撃ですよ?あの時避けきれなければ…。
「シャロン…外に居ても良いのだぞ。見ているのが辛いならな」
シャロンの異変に気付けないほど無頓着ではないヒューゴは、幾分表情を和らげながらもシャロンにそう話す。


