シャロンの顔を下から覗き込むように見るヒューゴに、シャロンは平素の表情で一言。
「秘密です」
それだけ言うと、式典会場に戻りましょうとヒューゴに語りかけ、ヒューゴはそんなシャロンの様子に釈然としないものの、深くはシャロンに聞かない事にした。
式典会場に戻った二人は、会場を埋め尽くすほどの人が入っている事に驚きの表情を浮かべる。
単なる式典ならここまで人が入ることはないだろうが、この式典の出し物にはリオナスとセヴィルの試合がある。王族騎士の騎士にしてみれば、是非とも見ておきたい試合である。
それはランディス国王陛下もその気持ちを察しており、立ち見で良ければ気兼ねなく見に来ていいと予め声名は出していたのだ。
「…大変申し訳ありませんでしたヒューゴ様。さきほどの場所はもうすでに他の方に取られてしまってます。私のせいですね…」
シャロンの言うとおり、さっきの場所はもう立ち見の人が陣取り、見れる状況ではなかった。
「仕方ないよ。他に開いている場所でも探そう。僕は試合が見れるなら場所なんかどこでも良いし」
ヒューゴとシャロンは辺りを見回し、試合が見れそうな場所を探しまわってみた。すると顔見知りで、それも気兼ねなくお邪魔が出来そうな奴らを視界にとらえる。
お邪魔出来そうな奴らもヒューゴの存在に気づくと、こっちに手まねきをしだした。実に身分を顧みない行為である。
「ヒューゴっ。一緒に見ようぜ」
声をかけてきたのはアスラだった。ムーアも一緒に居たのだが、何やら作業をしているようで、顔だけ向けつつ、片方の眉を上げ、肩目を瞑る。
実に様になっている。
ヒューゴはそんな2人の下に近寄り、声をかけた。
「そうさせてもらおうかな。ちょうど落ち着ける場所を探していたところだし…ムーアは何してるの?」
「俺か?俺は絵画の準備をしてるのさ。リオナスとセヴィル殿の試合の姿の大まかな下書きだけでも書ければ、後は時間を見つけて仕上げられるからよ」
ムーアはそう言うと、黒炭で出来たペンの手入れをしながら、ヒューゴに話す。
「秘密です」
それだけ言うと、式典会場に戻りましょうとヒューゴに語りかけ、ヒューゴはそんなシャロンの様子に釈然としないものの、深くはシャロンに聞かない事にした。
式典会場に戻った二人は、会場を埋め尽くすほどの人が入っている事に驚きの表情を浮かべる。
単なる式典ならここまで人が入ることはないだろうが、この式典の出し物にはリオナスとセヴィルの試合がある。王族騎士の騎士にしてみれば、是非とも見ておきたい試合である。
それはランディス国王陛下もその気持ちを察しており、立ち見で良ければ気兼ねなく見に来ていいと予め声名は出していたのだ。
「…大変申し訳ありませんでしたヒューゴ様。さきほどの場所はもうすでに他の方に取られてしまってます。私のせいですね…」
シャロンの言うとおり、さっきの場所はもう立ち見の人が陣取り、見れる状況ではなかった。
「仕方ないよ。他に開いている場所でも探そう。僕は試合が見れるなら場所なんかどこでも良いし」
ヒューゴとシャロンは辺りを見回し、試合が見れそうな場所を探しまわってみた。すると顔見知りで、それも気兼ねなくお邪魔が出来そうな奴らを視界にとらえる。
お邪魔出来そうな奴らもヒューゴの存在に気づくと、こっちに手まねきをしだした。実に身分を顧みない行為である。
「ヒューゴっ。一緒に見ようぜ」
声をかけてきたのはアスラだった。ムーアも一緒に居たのだが、何やら作業をしているようで、顔だけ向けつつ、片方の眉を上げ、肩目を瞑る。
実に様になっている。
ヒューゴはそんな2人の下に近寄り、声をかけた。
「そうさせてもらおうかな。ちょうど落ち着ける場所を探していたところだし…ムーアは何してるの?」
「俺か?俺は絵画の準備をしてるのさ。リオナスとセヴィル殿の試合の姿の大まかな下書きだけでも書ければ、後は時間を見つけて仕上げられるからよ」
ムーアはそう言うと、黒炭で出来たペンの手入れをしながら、ヒューゴに話す。


