風に揺蕩う物語

「だがあの将軍の頭脳も大したものだ。これだけの人数が集まったこの広場で、ヒューゴ達の気を読む事は俺でも不可能に近い。展開を先読みをして行動しないとこの状況は説明がつかない」

鷹もといい、ロランは達者な口調で言葉を発しながら、レスターの方を見上げる。

「ねぇ…彼女って何者なの?こちら側ではないよね」

難しい表情で対峙するシャロンとセリシアを眺めていたレスターは、着ていた外套から頭を出すしてロランに視線を送る。

「為人や経歴は知っています…200年以上も昔の話ですが」

「なるほど。レスターの現役時代の部下ってところかい?」

レスターの物言いでロランはすぐに察した。そして鷹の姿から静かに蜂蜜色の髪をした若い青年に姿を変える。レスターはそれと同時に目を細め、難しい表情を浮かべる。

「多少複雑な関係ではありましたが、そんなところです。私の知るセリシアとは似ても似つきませんが」

困惑とまではいかないが、眉間を顰めている。この様子から信じられないほどの変化がセリシアに起きている事を匂わせていた。

「俺やクライブが見落としているという事は、誰かの庇護を受けてる様だね。しかも魔族側の…参ったねこれは。状況が変わった」

真剣な顔付きでレスターに目配せをする。その視線を受けたレスターは、一度頷くと再度辺りの状況に視線をのばす。

「少し時間が惜しいな。早くこの騒動に決着をつけたいもんだね」

「では作戦通りに?」

ロランは難しい表情を崩さず、はっきりと言ってのけた。

「うん。ヒューゴにはこの世から消えてもらう」






俺は何をしている…。

なぜ必死になって俺を助けようとしているシャロンを助けない。なぜアスラとムーアが俺のせいでやられているのに、体が動かない。

別に戦えないわけではない。武器さえあればいつでも動ける。