後ろで待機していたセリシアの部下たちは、何も言わずに互いに目配せだけして静かに歩みだす。その意図は何も言わずとも察する事が出来る。
反逆者の捕縛である。その雰囲気を察しながらもシャロンはもちろん、他の仲間たちも何も出来ない。個人の武力に圧倒的差がある。
セリシアや他の部下達の体から発せられる異質な重圧が、この場を支配した証拠でもある。
「シャロン・ルクデシベルと申します。セリシア将軍閣下に置かれましては、此度の騒動に深い謝罪を申し上げます。初めから無為に騒ぎを起こそうと考えていた訳ではなかったのですが、話が通じる状況を脱してしまわれたので、この様な行動に移させて頂きました」
前に出たシャロンを素通りしたセリシアの部下たちは、そのまま後ろで茫然とているアスラとムーアが呼び込んだ仲間たちから武器を取り上げだした。すでに彼等にその行動を拒否する気力はない。
人数ではまだセリシア達に勝っている。だが隊長二人が戦闘不能に陥ったこの状況は、すでに敗北を意味している。抵抗しても無駄だと言えるほどの戦力差を見せつけられた。
軍としての豊富な経験がこの状況の優劣を決定づけさせた。
「ヒューゴ・シャオシールを自由にさせる為にこのような暴挙に出たんだろうが、ヴェルハルト様が下した采配を狂わす事などその少数では無理だ。貴女ならその事に気づいていただろうに…なぜこのような暴挙を起こした?」
「理由はさきほど話した通りにございます」
「いや違うな。貴女はこの状況も想定出来ていたはずだ。大国エストールに貴女と同等の頭脳を持った者が、いないなどという浅はかな考えはしないはず。つまり、初めから助け出せる勝算など百に一つしかない事を知っていた。だからこの絶望的な状況でもさほど動揺をしていないのだろう?」
直線的で辛辣な言葉を多用するセリシアにしては珍しく、シャロンの頭脳を高く評価している事を匂わせている言い回しをしていた。
普段からセリシアと接している側近達もその変化に驚きつつも、黙って事の成り行きを見守る。
反逆者の捕縛である。その雰囲気を察しながらもシャロンはもちろん、他の仲間たちも何も出来ない。個人の武力に圧倒的差がある。
セリシアや他の部下達の体から発せられる異質な重圧が、この場を支配した証拠でもある。
「シャロン・ルクデシベルと申します。セリシア将軍閣下に置かれましては、此度の騒動に深い謝罪を申し上げます。初めから無為に騒ぎを起こそうと考えていた訳ではなかったのですが、話が通じる状況を脱してしまわれたので、この様な行動に移させて頂きました」
前に出たシャロンを素通りしたセリシアの部下たちは、そのまま後ろで茫然とているアスラとムーアが呼び込んだ仲間たちから武器を取り上げだした。すでに彼等にその行動を拒否する気力はない。
人数ではまだセリシア達に勝っている。だが隊長二人が戦闘不能に陥ったこの状況は、すでに敗北を意味している。抵抗しても無駄だと言えるほどの戦力差を見せつけられた。
軍としての豊富な経験がこの状況の優劣を決定づけさせた。
「ヒューゴ・シャオシールを自由にさせる為にこのような暴挙に出たんだろうが、ヴェルハルト様が下した采配を狂わす事などその少数では無理だ。貴女ならその事に気づいていただろうに…なぜこのような暴挙を起こした?」
「理由はさきほど話した通りにございます」
「いや違うな。貴女はこの状況も想定出来ていたはずだ。大国エストールに貴女と同等の頭脳を持った者が、いないなどという浅はかな考えはしないはず。つまり、初めから助け出せる勝算など百に一つしかない事を知っていた。だからこの絶望的な状況でもさほど動揺をしていないのだろう?」
直線的で辛辣な言葉を多用するセリシアにしては珍しく、シャロンの頭脳を高く評価している事を匂わせている言い回しをしていた。
普段からセリシアと接している側近達もその変化に驚きつつも、黙って事の成り行きを見守る。


