最後、後ろに控える部下達を見ながらセリウスは言うと、その言葉に呼応するかの様に持っていた得物を空に突き上げ、怒号を上げる。
その雰囲気に一瞬飲み込まれそうになったアスラ達は、体を硬直させる。
セリウス将軍の側近であり、それもこの者達は精鋭の十人である。膂力は常軌を逸している。その全てが武力だけでみれば将軍級の豪傑なのだ。
こちらが人数では勝っているとはいえ、時間が立てば騎士が駆けつけるだろうし、それ以前にこの状況を打開する事もかなり難しい。だがここは時間を稼ぐ必要性があるとムーアは考えた。
なので会話を引き延ばす。後ろで何も言わずに事の成り行きを見守っている軍師のため。それに自身のために…。
「私がセリウス将軍に直接話しかけるのは畏れ多く感じるところではありますが、今は相対する立場ゆえ、礼儀を抜きに話させて頂きます…この策を実行したのは俺やアスラだが、考えたのは違う人物だ」
「なら貴様も用済みという事になるな。ちなみにその人物とは誰なのだ?」
当然こう切り返してくる。
「ヒューゴの側に居る彼女さ」
素直に教える。
「…あの女が策を施したのか?」
セリウスの注意がシャロンに向いた。一瞬の隙が生まれる。
先に動いたのはアスラだ。持っていた双剣の片方をセリウス目がけて投げ飛ばす。同時にムーアが怒涛の如くセリウス目掛けて突進して行く。
セリウスは投げられた剣をレイピアで弾くと、迫ってくるムーアに意識を向ける。だがその時にはすでにムーアの斧槍がセリシア目掛けて振り下ろされていた。
敵を混乱に陥れる一番の方法は、指揮官を倒す事。つまりはセリシアを戦闘不能の状態にし、活路を開く事である。
ムーアは勝利を確信した。セリシアの現在の姿勢ではレイピアでムーアの斧槍を防ぐ事は不可能であったからだ。
「なにっ?」
だがムーアの渾身の一撃はセリシアに防がれた。
「やってくれたな。それと私を見くびるなよムーアよ…騙し討ちが私に通じると思っていたのか?」
セリシアは女性特有の細い腕で、斧槍の刃が付いていない柄の部分を掴み、受け止めていた。
その雰囲気に一瞬飲み込まれそうになったアスラ達は、体を硬直させる。
セリウス将軍の側近であり、それもこの者達は精鋭の十人である。膂力は常軌を逸している。その全てが武力だけでみれば将軍級の豪傑なのだ。
こちらが人数では勝っているとはいえ、時間が立てば騎士が駆けつけるだろうし、それ以前にこの状況を打開する事もかなり難しい。だがここは時間を稼ぐ必要性があるとムーアは考えた。
なので会話を引き延ばす。後ろで何も言わずに事の成り行きを見守っている軍師のため。それに自身のために…。
「私がセリウス将軍に直接話しかけるのは畏れ多く感じるところではありますが、今は相対する立場ゆえ、礼儀を抜きに話させて頂きます…この策を実行したのは俺やアスラだが、考えたのは違う人物だ」
「なら貴様も用済みという事になるな。ちなみにその人物とは誰なのだ?」
当然こう切り返してくる。
「ヒューゴの側に居る彼女さ」
素直に教える。
「…あの女が策を施したのか?」
セリウスの注意がシャロンに向いた。一瞬の隙が生まれる。
先に動いたのはアスラだ。持っていた双剣の片方をセリウス目がけて投げ飛ばす。同時にムーアが怒涛の如くセリウス目掛けて突進して行く。
セリウスは投げられた剣をレイピアで弾くと、迫ってくるムーアに意識を向ける。だがその時にはすでにムーアの斧槍がセリシア目掛けて振り下ろされていた。
敵を混乱に陥れる一番の方法は、指揮官を倒す事。つまりはセリシアを戦闘不能の状態にし、活路を開く事である。
ムーアは勝利を確信した。セリシアの現在の姿勢ではレイピアでムーアの斧槍を防ぐ事は不可能であったからだ。
「なにっ?」
だがムーアの渾身の一撃はセリシアに防がれた。
「やってくれたな。それと私を見くびるなよムーアよ…騙し討ちが私に通じると思っていたのか?」
セリシアは女性特有の細い腕で、斧槍の刃が付いていない柄の部分を掴み、受け止めていた。


