シャロンの心の中に小さな安堵が広がる。それは決して大きいものではないが、それでも罪悪感がこれ以上大きくなる事無く前に進めそうだ…。
そう感じさせるほど穏やかな表情を浮かべ、愛しき主人の変わり果てた姿を見つめる。
どれだけヒューゴ様が傷ついていようが、私が側で体も心も癒して見せます。
煙玉の勢力が届かない場所まで移動したシャロン達は、出来るだけ目立たない様にとある建物の中に入る。その中には綱で止めてある騎馬が二体居る。
ミアキスとフーガだ。元来主人の命令しか聞かない品種の騎馬だが、小さい頃から触れ合っていたシャロンの指示には従うみたいで、この場所まで人知れず移動をさせていた。
ミアキスの上にヒューゴを乗せたムーアは、手綱をシャロンに渡し、徐々に集まってきた仲間達に指示を出す。
「シャロンとアスラはこれから人通りの少ない場所を通ってもらい、ファルロースの外まで移動してもらう。後の者は俺と一緒に攪乱のためにもう一度広場の方に向かう…ここから先は死闘になると心構えしておけ」
ムーアは携帯していた短剣を放り投げると、壁に立てかけてあった自分の身長をゆうに超える斧槍を方に担ぐ。重量級であるこの武器を自在に操り、集団戦を得意とするムーアは、アスラよりも攪乱向きの男だ。
必然的に囮役を買って出た事になるのだが、シャロンの才がこの騎士を本気にさせたのは間違いない。
普段の優男ぶりが今は少しもない。戦場に向かう前の隊長の顔である。
他の仲間たちも同様にムーアの熱に感化され、自らを鼓舞するかの様に大きく声を張り上げる。
「それじゃ早く移動を開始しよう。ヒューゴの様子も少しおかしいし、早く休ませてやりたい…」
俯き加減にミアキスの首に寄り掛かるヒューゴの様子を視界に収めたアスラはそう答える。ミアキスもまた首を主人の方向に向け、心配しているかの様な雰囲気を見せている。
「俺も同感だ…それじゃ始めるぞっ!二人を頼んだぞアスラ。お前の機動力と経験で危機を乗り越えてくれ」
「お前もなムーア。死ぬんじゃねぇぞ…それと捕まっても今度は助けにいけねぇからな」
二人は互いに拳をぶつけ合う。アスラはその後フーガに騎乗し、シャロンはヒューゴを抱きしめる様に騎乗すると、手綱をしっかりと握りしめる。
そう感じさせるほど穏やかな表情を浮かべ、愛しき主人の変わり果てた姿を見つめる。
どれだけヒューゴ様が傷ついていようが、私が側で体も心も癒して見せます。
煙玉の勢力が届かない場所まで移動したシャロン達は、出来るだけ目立たない様にとある建物の中に入る。その中には綱で止めてある騎馬が二体居る。
ミアキスとフーガだ。元来主人の命令しか聞かない品種の騎馬だが、小さい頃から触れ合っていたシャロンの指示には従うみたいで、この場所まで人知れず移動をさせていた。
ミアキスの上にヒューゴを乗せたムーアは、手綱をシャロンに渡し、徐々に集まってきた仲間達に指示を出す。
「シャロンとアスラはこれから人通りの少ない場所を通ってもらい、ファルロースの外まで移動してもらう。後の者は俺と一緒に攪乱のためにもう一度広場の方に向かう…ここから先は死闘になると心構えしておけ」
ムーアは携帯していた短剣を放り投げると、壁に立てかけてあった自分の身長をゆうに超える斧槍を方に担ぐ。重量級であるこの武器を自在に操り、集団戦を得意とするムーアは、アスラよりも攪乱向きの男だ。
必然的に囮役を買って出た事になるのだが、シャロンの才がこの騎士を本気にさせたのは間違いない。
普段の優男ぶりが今は少しもない。戦場に向かう前の隊長の顔である。
他の仲間たちも同様にムーアの熱に感化され、自らを鼓舞するかの様に大きく声を張り上げる。
「それじゃ早く移動を開始しよう。ヒューゴの様子も少しおかしいし、早く休ませてやりたい…」
俯き加減にミアキスの首に寄り掛かるヒューゴの様子を視界に収めたアスラはそう答える。ミアキスもまた首を主人の方向に向け、心配しているかの様な雰囲気を見せている。
「俺も同感だ…それじゃ始めるぞっ!二人を頼んだぞアスラ。お前の機動力と経験で危機を乗り越えてくれ」
「お前もなムーア。死ぬんじゃねぇぞ…それと捕まっても今度は助けにいけねぇからな」
二人は互いに拳をぶつけ合う。アスラはその後フーガに騎乗し、シャロンはヒューゴを抱きしめる様に騎乗すると、手綱をしっかりと握りしめる。


