随分と情けない表情をしていた。今にも泣きそうであり、引きつった表情。情けない表情の代名詞とも言える表情である。
男は右手をそのまま盗賊の肩にポンと置いた。そして…。
「もうやるなよ。お前には盗賊は向いていない…全うに生きてみろ」
優しくそう語りかけると、そのまま盗賊の横を素通りし、街道を一人奥に進んで行った。その後ろ姿を唖然と見つめた盗賊は、そのままその場に座り込み、盛大に泣きだした。
自分はなぜ泣いているのか…。自分で不思議と感じながらも涙は止まらず、嗚咽も止まらなかった。
そして不思議なことに周りで様子を伺っていた者たちすらも盛大に泣きだしたのだ。それはまるで自分の体の中に溜まったものを外に吐き出すかの様に…。
これは後日談になるのだが、この盗賊達はこの地域では悪魔と恐れられていた盗賊達だった。お勤めの為なら女子供関係なく殺人を犯す札付きの盗賊だった。
だがこの盗賊達はこの日を境に一切の目撃証言がなくなる。そのかわり街道の治安を守る自衛団の様な存在が現れ、街道を歩く旅人にとって無くてはならない存在になったとか…。
話は戻り男は街道を昼夜問わずに歩き続けた…。
そして辿り着く。エストール王国の首都であるファルロースの街に。
見上げるほどに大きな関所があるこの街の外で、男は独り何かを待っていた。その男の肩に一羽の鷹が止まる。男は鷹には一瞥もくれる事無く視線をそのままに言葉を発した。
「私をご指名頂き光栄に思います。多少時間はかかりましたが、何とか間に合いました」
鷹は男の肩で羽根づくろいをしている。だがどこからともなく人の声が聞こえてくる。
「急に呼び出しちゃったりしてごめんねレスター。リクサック大陸からここまで結構距離があったでしょ?」
「どうですかね。気候変動をしなくても良いアロニア大陸は楽でしたが、リクサック大陸の灼熱地獄の旅路は流石に骨が折れましたね。あの術は神経をすり減らしますから」
男は右手をそのまま盗賊の肩にポンと置いた。そして…。
「もうやるなよ。お前には盗賊は向いていない…全うに生きてみろ」
優しくそう語りかけると、そのまま盗賊の横を素通りし、街道を一人奥に進んで行った。その後ろ姿を唖然と見つめた盗賊は、そのままその場に座り込み、盛大に泣きだした。
自分はなぜ泣いているのか…。自分で不思議と感じながらも涙は止まらず、嗚咽も止まらなかった。
そして不思議なことに周りで様子を伺っていた者たちすらも盛大に泣きだしたのだ。それはまるで自分の体の中に溜まったものを外に吐き出すかの様に…。
これは後日談になるのだが、この盗賊達はこの地域では悪魔と恐れられていた盗賊達だった。お勤めの為なら女子供関係なく殺人を犯す札付きの盗賊だった。
だがこの盗賊達はこの日を境に一切の目撃証言がなくなる。そのかわり街道の治安を守る自衛団の様な存在が現れ、街道を歩く旅人にとって無くてはならない存在になったとか…。
話は戻り男は街道を昼夜問わずに歩き続けた…。
そして辿り着く。エストール王国の首都であるファルロースの街に。
見上げるほどに大きな関所があるこの街の外で、男は独り何かを待っていた。その男の肩に一羽の鷹が止まる。男は鷹には一瞥もくれる事無く視線をそのままに言葉を発した。
「私をご指名頂き光栄に思います。多少時間はかかりましたが、何とか間に合いました」
鷹は男の肩で羽根づくろいをしている。だがどこからともなく人の声が聞こえてくる。
「急に呼び出しちゃったりしてごめんねレスター。リクサック大陸からここまで結構距離があったでしょ?」
「どうですかね。気候変動をしなくても良いアロニア大陸は楽でしたが、リクサック大陸の灼熱地獄の旅路は流石に骨が折れましたね。あの術は神経をすり減らしますから」


