ヒューゴの勘繰る様な表情にロイスは、表情を一度和らげると、再度引き締め直した。
「言っておくが私は貴君を快くは思っていない。だが認めるところはちゃんと認めている。その力はエストール王国の財産だ。そのまま埋もれさせるのは勿体ないと思う」
ロイスはそう言うと懐から便箋を取り出し、それをヒューゴに差し出す。
「これは?」
「ヴェルハルト様が御作りになる直轄軍への推薦状だ。ヴェルハルト様は、王族騎士とは別にもう一つ軍隊を作るつもりなのだ…来たる戦に備えてな」
初耳である。そんな重大な事を今の今まで噂すら聞いた事がない。
「この先エストール王国は、ヴェルハルト様の時代になる。そうなるとこの平和な状態が危機的状況を生む可能性がある…それに備えて少数精鋭部隊を作り、近隣諸国の諜報活動と騎士の派遣を行うのだ。少しでも戦に慣れる騎士を作る為にな。そうなると優秀な騎士を指揮する人物が必要になる。私が見た限り、貴君はそれを行えるに足る器だと感じた。陸軍はリオナスに任せて指揮官として任に就いてみる気はないか?」
ロイスはヒューゴの邪魔はすれど、騎士としての功績を上げる様な事をするのは初めてだった。
これは大きな昇進を意味する。後の国王であるヴェルハルトの直轄する部隊の指揮官への推薦なのだから、大臣級の昇進である。
ロイスと同列かそれ以上。軍部の最高位とも取れる立ち位置になるのだ。
「…考えてみます」
判断を先送りにしたヒューゴは、その便箋をとりあえず受け取る。
「2、3日の間に私に連絡をしてくれ…承諾した場合はすぐに国王とのお目通りを取り次ぎ、その後に軍編成の会議を行う。最近はキナ臭い情勢を見せている6ヶ国同盟領への牽制も視野に入れて準備をしておきたいからな」
そう言うとロイスは、その場を後にしようとする。そして思い出したかのように振り返ると、顔だけをヒューゴに向ける。
「言っておくがこの話は内密に頼む。極秘裏に進めている話なのでな…」
そう言うとロイスは完全に姿を消した。
残されたヒューゴは、手に持っている便箋を見つめた。
「言っておくが私は貴君を快くは思っていない。だが認めるところはちゃんと認めている。その力はエストール王国の財産だ。そのまま埋もれさせるのは勿体ないと思う」
ロイスはそう言うと懐から便箋を取り出し、それをヒューゴに差し出す。
「これは?」
「ヴェルハルト様が御作りになる直轄軍への推薦状だ。ヴェルハルト様は、王族騎士とは別にもう一つ軍隊を作るつもりなのだ…来たる戦に備えてな」
初耳である。そんな重大な事を今の今まで噂すら聞いた事がない。
「この先エストール王国は、ヴェルハルト様の時代になる。そうなるとこの平和な状態が危機的状況を生む可能性がある…それに備えて少数精鋭部隊を作り、近隣諸国の諜報活動と騎士の派遣を行うのだ。少しでも戦に慣れる騎士を作る為にな。そうなると優秀な騎士を指揮する人物が必要になる。私が見た限り、貴君はそれを行えるに足る器だと感じた。陸軍はリオナスに任せて指揮官として任に就いてみる気はないか?」
ロイスはヒューゴの邪魔はすれど、騎士としての功績を上げる様な事をするのは初めてだった。
これは大きな昇進を意味する。後の国王であるヴェルハルトの直轄する部隊の指揮官への推薦なのだから、大臣級の昇進である。
ロイスと同列かそれ以上。軍部の最高位とも取れる立ち位置になるのだ。
「…考えてみます」
判断を先送りにしたヒューゴは、その便箋をとりあえず受け取る。
「2、3日の間に私に連絡をしてくれ…承諾した場合はすぐに国王とのお目通りを取り次ぎ、その後に軍編成の会議を行う。最近はキナ臭い情勢を見せている6ヶ国同盟領への牽制も視野に入れて準備をしておきたいからな」
そう言うとロイスは、その場を後にしようとする。そして思い出したかのように振り返ると、顔だけをヒューゴに向ける。
「言っておくがこの話は内密に頼む。極秘裏に進めている話なのでな…」
そう言うとロイスは完全に姿を消した。
残されたヒューゴは、手に持っている便箋を見つめた。


