頭を抱えたくなってきたな。どうしたものか…。

「ちょっと中の様子を見てきてよリオナス。僕は立場上中に入る訳にはいかないからさ」

この場は近衛兵隊長に任せるのが一番良いだろう。そう思ったヒューゴはリオナスに頼み込む。

するとリオナスは3回ほどノックをし、中に居る女官を呼び出した。軽く開いたドアから陽気な様子の話声が聞こえてくる。

出てきた女官はレオナだ。朝から働き詰めだったのだろうその表情には疲れが見える。ヒューゴの姿を確認したレオナは、表情を明るいものにして中に居る人物に声をかけた。

「ヒューゴ様がいらっしゃいました。シャロンさんを迎えにいらっしゃったようです」

別に何も答えていないのだが、おそらく予想でそう話したのだろう。そして僕は一抹の不安が頭を過った。

レオナさんのあの安堵した様な表情。セレスティアの自室の中で何が起きているのやら…。

「ヒューゴもう来たの?ちょっと早すぎだわ。ちょっと中に入ってくるように伝えて」

あれだけ大きな声で言えば十分伝わったし、もう日付が変わっているのだからかなり来るのが遅かったはずだ。

僕は思わずレオナさんと目を合わせた。

「セレスティア様は大変ご機嫌が麗しいようで…」

「はい…シャロンさんと意気投合したようで、それはもうすごく上機嫌でいらっしゃいます」

どうしたものか…。

リオナスは我関せずを貫き見張りを続け、レオナさんは苦笑を浮かべる。そして僕はというと。

「申し訳ありません」

なぜかレオナさんに謝っていた。

「何頭なんか下げてるのよヒューゴ。早く中に入りなさい」

そしてセレスティアにがっしりと腕を掴まれ、室内に引きづり込まれた。