「少し緊張してます…初めてですから」
シャロンの顔色はまだ赤い状態だ。さきほどの大胆な失敗で、顔から火が出そうになっているのに、両手が塞がっているこの状況では、顔を隠す事も出来ない。
それに顔の距離もかなり近い。シャロンの人生を思い返しても、ここまで異性と距離を近づけた事が、一度もなかった事も顔色を変える原因になっているだろう。
「それもそうだよなぁ…シャロン、好きな食べ物はなに?」
ヒューゴは突拍子もない事を聞いていた。シャロンも疑問符が頭上に浮かぶ様な表情を浮かべた後、その問いに一応答える。
「白身魚の香草焼きが好きです」
「そういえばそうだったね。なら愛読書は?」
「メルセウス作の『ミルキア通りの三人娘』ですね。私にとっては料理の先生みたいなものでしたから、今でも時間があれば目を通しています」
「へぇ、それは初耳だ。僕の前では本とか読まなかったから知らなかったよ」
その後もヒューゴは他愛もない質問や会話をジャロンに投げかける。実直な性格をしているシャロンも、ヒューゴの言葉にしっかりと返事を返すので、会話はいつまでも終わらない。
するとシャロンは足元に視線を向ける事もなくなり、目線もヒューゴの瞳をしっかりと捉えるようになる。そして顔色も普段のものに変わった。
「だんだん踊りがうまくなってきたね。僕のリードが必要ないぐらいにさ」
社交場でのダンスは元々単調な踊りなので、そんなに難しくない。だが初めての踊りで、一度も躓かずに踊ってみせるあたりシャロンも覚えが早い。
数分も踊るとヒューゴのリズムを覚えたのか、繋がれている手は離さずに、軽やかに回って見せれるまでになった。
「ヒューゴ様の導きがあっての出来栄えです」
「ずいぶんと謙遜するねぇ。そこがシャロンの良い所でもあるんだけどね」
社交場のダンスとは、曲が流れる限られた時を楽しむもの。それは踊りだけに留まらず、会話を楽しむことも含まれる。
ヒューゴの誘いの元、シャロンもまた羞恥の気持ちを忘れ、一時を楽しみだしていた。
シャロンの顔色はまだ赤い状態だ。さきほどの大胆な失敗で、顔から火が出そうになっているのに、両手が塞がっているこの状況では、顔を隠す事も出来ない。
それに顔の距離もかなり近い。シャロンの人生を思い返しても、ここまで異性と距離を近づけた事が、一度もなかった事も顔色を変える原因になっているだろう。
「それもそうだよなぁ…シャロン、好きな食べ物はなに?」
ヒューゴは突拍子もない事を聞いていた。シャロンも疑問符が頭上に浮かぶ様な表情を浮かべた後、その問いに一応答える。
「白身魚の香草焼きが好きです」
「そういえばそうだったね。なら愛読書は?」
「メルセウス作の『ミルキア通りの三人娘』ですね。私にとっては料理の先生みたいなものでしたから、今でも時間があれば目を通しています」
「へぇ、それは初耳だ。僕の前では本とか読まなかったから知らなかったよ」
その後もヒューゴは他愛もない質問や会話をジャロンに投げかける。実直な性格をしているシャロンも、ヒューゴの言葉にしっかりと返事を返すので、会話はいつまでも終わらない。
するとシャロンは足元に視線を向ける事もなくなり、目線もヒューゴの瞳をしっかりと捉えるようになる。そして顔色も普段のものに変わった。
「だんだん踊りがうまくなってきたね。僕のリードが必要ないぐらいにさ」
社交場でのダンスは元々単調な踊りなので、そんなに難しくない。だが初めての踊りで、一度も躓かずに踊ってみせるあたりシャロンも覚えが早い。
数分も踊るとヒューゴのリズムを覚えたのか、繋がれている手は離さずに、軽やかに回って見せれるまでになった。
「ヒューゴ様の導きがあっての出来栄えです」
「ずいぶんと謙遜するねぇ。そこがシャロンの良い所でもあるんだけどね」
社交場のダンスとは、曲が流れる限られた時を楽しむもの。それは踊りだけに留まらず、会話を楽しむことも含まれる。
ヒューゴの誘いの元、シャロンもまた羞恥の気持ちを忘れ、一時を楽しみだしていた。


