遥か昔、二つの種族が大きな争いを繰り広げていた。

二つの種族は違う次元に暮らす種族だったのだが、二つの次元は時を経て重なり、行き来出来る様になってしまったのだった。

片方の次元には優美に降り注ぐ光があった。

そしてもう片方の次元には幻想的な色合いを見せる闇があった。

二つの種族は相容れぬ関係ではあったものの、しばらくは大きな問題は起きず、互いに干渉しない事を条件に共存を図っていた。

そんな関係が永遠に続くと思われていたのだが、現実はそううまくはいかなかった。

小さな小競り合いが起き鎮まる。また起き鎮まる…。

そんな小さな積み重ねが溜まりに溜まり、大きな紛争に発展する。

言葉に出さなかったが、お互いの次元にあるものが欲しくなったのだ。

闇を持つものは光が欲しくなる。光を持つものは闇が欲しくなる。

互いの利害が完全に一致した結果。起きるべくして起きた紛争だった。

二つの種族の力はまさに拮抗していた。

闇の次元の者は、生まれつき俊敏に動く肉体を有していた。その速さたるや風の如く吹き抜ける。

光の次元の者には目に見えぬ力があった。その力たるや稲妻の如く切り裂く。

そんな力を有する種族同士が争えば、多くの死者が出るのは必至だった。瞬く間に多くの種族同士に多数の死者が出る。

同族を殺された恨みは思いのほか深く、互いが目的を忘れたかのように殺戮を繰り返すようになった。

だがそんな事態を重く見た種族の長が、互いに歩み寄る姿勢を見せ始めた。

なぜなら実力が拮抗している同士が争いを続けても、その先にあるのは虚しさだけだと気づいたからだ。