華月は制服を着て、鞄を手にとると階段を降りて行った。 両親と姉の話し声が聞こえるが、見向きもせずに玄関へと向かった。 玄関にはいつも通り朝食がわりのニ千円が置かれていた。 華月にはこの家で朝食が用意されたことはなかった。 この家にきてから家族と食事を共にしたことなどないのだ。 そう、 華月にほんとうの両親はいない。