「じゃあ行ってくるね。」

笑って今日を迎えられた。

「気をつけるのよ?琥珀はドジだから……」
「だーいじょうぶだってー。ママは過保護なんだよー」
「琥珀。気をつけろよ。寂しかったらいつでも、時間なんて気にしなくていいから、電話でもなんでもしろ。」
「パパ……うん。わかった。ありがとう…」

そして大地の方を見ると

―――ギュッ…

いきなり抱き締められた。

「ちょっ…パパもママもいるのに……」

当の二人は知らぬフリ……
ま、いいけど

「………。」
「……大地…?」
「……っ…。」

小さく震える彼の身体。
小さく聞こえる彼の嗚咽。

そうして悟った事実。

あぁ…彼は泣いている。

あたしはそっと大地の大きくて広くて温かい頼り甲斐のあるその背中に手を回す。

―――きゅっ…

「……琥珀…。」
「ん…?」
「待ってるからな…。ずっと」
「……ん。」
「毎日手紙…書くからな。」
「……うん。あたしも…毎日…書く、ね。ぜ、たい…。大好きぃ…」

とうとう堪えきれずに泣きだしてしまったあたしの髪を優しく撫でながら

「…おれもだ。愛してるよ。琥珀…」




そうしてあたしは旅立った。