「ここに入ると記憶が無くなるはずなのに、この方はずっと大翔様のお名前を呼んでらっしゃいました」

香奈…

「よほど強い思いがあるのでは…と思い、やっとあなたを見つけました。」

「おっさん、ここから、出る事はできるのか?」

俺はおっさんの摩訶不思議発言を信じ、問いかけた。
「できます。入っている方が望めば…」

俺は香奈を連れて帰りたい。

「ただし、一度ここに入ってしまった方は現実に戻ることを拒みます。
単に話しかけるだけでは、意識ももどりませんし、心も動きません。
時間もどのくらいかかるかなんて想像もつきません。
大翔様。あなたにできますか?」