「わたくしに着いて来てください。」

おっさんは俺に構わず歩き出した。
普段の俺なら無視するところだが、
なんとなくついていきたくなり
さっさとかなり早いスピードで歩くおっさんを
小走りで追いかけた。

しばらく行くと
突然おっさんがピタリと足を止めた。

「なんだよ!急にとまんな…よ!?」

今まで見た事も無い
龍宮城のような建物が目の前に広がり
俺は目をまるくした。

「す…すげぇ…」

「さ、大翔様、お入りくださいませ」

おっさんは曲がっている背中をさらに曲げ、左手をピンと延ばし
俺を中へ導いた。

「なんで俺の名前知ってんの?」

「貴方様の事を知らない者はこの街にはいないでしょう」

それもそうか、と納得し、俺は中に入った。

「いらっしゃっいませ」