本当にな。いくらコソドロだって、人を殺すのは初めてだ。こう、要領がな、ちとつかめん。 観ればみるほど、美しいお嬢に、今このときの感情を悟られるなぞ、屈辱だ。どうしたらいい? 原点にかえろう。俺はコソドロだ。大それたことはしない。俺は作り笑いを浮かべた。もちろん、こびるためではない。出し抜くためだ。 「お嬢、その犬をお貸しなさい。様子が変です。病気なのかも」 言って差し出した手は年の割に幼く小さな手でパッと振り払われた。