みんな腹の中じゃあこのお嬢を疎ましく思っているハズさ。自分一人で犬汁喰って、きれい事か。

 俺は腹の底から凶暴な感情がこみ上げ、内心、しばらく笑いが止まらなかった。

 なんてかわいそうなお姫様。

 なんてかわいそうな子犬だろう、と。

笑いが、止まらない。

 自然に裏木戸から身を乗り入れていた。

 庭先の水瓶に映った自分の顔はちゃちな小男に見えた。