狗喰い~刻のまにまに~

 俺のシロを殺っちまったときは毛ほども見せなかったであろうごろつきの見透かすような視線がいやに焼き付いて眼裏を離れない。
 
 ああ、そうさ。

 シロを売ったのはお袋だからな! 

 お袋は俺の犬をうっぱらった金で飯を食わせてくれたんだからな!

 感謝してるよ。涙が止まらなかったくらい。

 コソドロになったのはそのときからだ。

 世の中金! 金! 金! それに嘘だ。 

 金をナメんなよ!