夏祭り当日

あたしはママに手伝ってもらって・・・というより邪魔されながら浴衣を着ていた。

「ママ、大丈夫だよ。自分で着れるって」

そういいながらあたしの周りをチョロチョロするママを邪険に追い払おうとするのに、ママは全然堪えていないみたい。

「つめた~~い。優華のイジワル。ママ泣いちゃう~~~」

……って、あなたお幾つですか?
本当にいつまでも若々しいのはいいけれど、こうも子どもっぽい所は困ってしまう。

「邪魔なの。鏡の前に立たないで。見えないじゃない」

「ママが手伝ってあげるよ~~♪ほら、着崩れたりしたら大変でしょう?」

「大丈夫だって。あたしだって伊達に何年も踊り習ってないんだよ?」

そう、あたしは子どもの頃から日本舞踊を習っている。
だから浴衣を着るくらいの着付けは朝飯前だっていうのは、ママだってちゃんと分かっている。

それなのにこんな風に纏わりついてくるって事は・・・。