【長編】FOUR SEASONS

『あたしよりも優華、あんたよ。心配だなあ。やっぱり約束断って一緒に行こうか？』

麻里亜の言葉に一瞬、凹む孝宏先輩の姿が浮かんだ。

先輩、麻里亜がついて来るって言ったら、きっとガッカリするだろうなあ。
やっぱりここは麻里亜には彼とデートしてもらおう。

「大丈夫だよ。孝宏先輩は確かに色々噂があるけど、あたしは目の前で笑っている先輩の言葉を信じてあげたいんだよね」

『優華…』

「ちょっと前までは麻里亜の言う様に警戒していたよ。
このまま一緒にいたら好きになっちゃうかもって不安もあったし･･･。好きになっちゃいけないとも思っていた。
先輩には体だけの付き合いの女の人がいたことも聞いているしね。でも、それって噂でしょう？　どこまでが本当かなんて分からないでしょう？
あたしね、先輩は今、本当に恋している人がいるんだって、最近傍にいて凄く感じるの。
だから笑顔もすごく優しくなったし、今までみたいないいかげんな付き合いはしないと思うの。
あたしね先輩の真っ直ぐな瞳が好きだなって素直に思えるの。先輩が好きなのがあたしでなくても、先輩と一緒に過ごせるのは楽しいから…。それでいいの。」

自分で言ってビックリした。

まさかこんな事を言うつもりは無かったから。

でも、それが自分の中の本当の気持ちだったんだって、始めて気付いた。

あたしやっぱり孝宏先輩のこと好きになり始めていたんだ。