「先輩、これって、孝宏先輩ですよね？」

コンビニで優華が手に取った雑誌に俺の写真が載っていた。
以前より頻繁に仕事が入ってくるようになった俺は、それまで以上に雑誌を飾るようになっていた。
俺が望んで仕事を増やしているわけではないが、事務所が受け付けてしまうのだから仕方が無い。
なんでも、俺の表情が最近柔らかくなったせいで、需要が増えているって社長は言っていた。

需要が増えるって･･･何だか物みたいだな俺。

表情が柔らかくなったって？
自分では分からないが、もしそうなら、それは優華のお陰だろう。


優華は俺の出ている雑誌をいくつか手に取るとレジへと向かった。

「･････････買うのか？」

意外に思ってポツリと零れた言葉を優華は聞き逃さなかったらしい。

「ダメですか？」

振り返りざまに上目遣いで見られてダメなんて言える男がいたらお目にかかりたい。

「あ、いや、欲しかったらやるのに。わざわざ買わなくても･･･。」

「あ、そっか。ふふっ。でもいいんです。あたしが買いたいんですから。」

楽しそうに笑う優華に一瞬心を奪われ言葉を無くしてしまう。


･･････カワイイ････


ぼうっと優華に見とれていると、センパイ？と不思議そうに覗き込み見上げてくる。


その距離が思った以上に近くて、ドキリとした。